直筆の遺言書はエンディングノートより超簡単か?
こんにちは。
エンディングノートナビゲーター®、終活講師の赤川なおみです。
エンディングノートの書き方講座では「自筆遺言なら簡単だし、お金もかかりませんよね」という質問をよくいただきます。
遺言書を自筆で書けばエンディングノートより簡単?
よくドラマでみるような「遺言書」と表に書かれた紙・・・
確かに、自筆で書いて印鑑おして日付入れて…封をしておしまい!というイメージですね。簡単に書けるし、一応遺言書だし。
これだったら、法的な効力のないエンディングノートを書くよりも超簡単!と思われるのかもしれません。
エンディングノートは、相続だけでなく、気持ちや、物のある場所を書いたりと、書く項目も多くなります。
なのに、エンディングノートは見た人がその内容を実行してもしなくても良いわけで…
ということは、自筆遺言の方が簡単?なのでしょうか?
自筆の遺言書は必ず効力を発するとは限らない
自筆での遺言書は、お金もかかりませんし、簡単に書けるようなイメージですよね。
ですが、自筆の遺言書は効力を発揮しないことが多いのはご存知でしょうか?
実は、書き方や印鑑の押し方、日付の書き方など、とても細かい決りがあり、少しでも不備があると、効力を発揮しません。
ここは自筆遺言の大きな落とし穴!
しかし、ここをお気づきの方が少なくて「サインして日付が入ってればいいんでしょ?」と言われるのですが、もし開封したときに「残念ながら、無効です」と言われてしまったら??
それこそ「ちゃんと遺言を書いてあるから、そのようにしてくれ」と伝えていても、開けてみたら無効だった…というのでは、せっかくの遺言書も意味がありませんね。
自筆の遺言書は書くのは簡単、でも開ける時には注意して!
もう一つ、自筆遺言の落とし穴があります。
それは「開封時」です。自筆遺言を書いた方が亡くなった場合、その遺言書を見つけた人は、必ず家庭裁判所で申し立てを行って「検認」の手続きをしたのちの開封となります。
そして、この検認には少しですが、お金が必要です。ですから、自筆ならタダ!というのはちょっと違いますね。
もし「そんなことしなくても、みんなが納得したら良いんだよ」と、検認を怠り開封。
その遺言書の内容に沿って財産を分けると…
なんと!開封した人は民法1005条に基づいて「5万円以下の過料」となるのです!
※過料は罰金ではありませんが、罰としてお金を払うということになります。
そして、検認の後に開封したとしても、先ほど書いたように、不備のあるものだとしたら、同じく効力はありません。
自筆遺言でも専門家に確認を
まずは遺言書を書くなら、自筆でも公正証書でも、専門家に相談しましょう。
自筆で書くのであれば、相談してから書くのも良し、書いてから確認していただくもよし。この一手間で、大切な内容が無効になることを防ぐ事ができます。
せっかく大切な人たちを想い書いた物が、無効になるなんて悲しいですよね。
そして、どんな形式でも良いので、遺言書に書いた内容について「こんな思いで書いたよ」「こんなことを考えてたよ」と、気持ちを書いたエンディングノートを添えてください。
この「気持ち」が伝わる事で、みんなが納得する「書いてくれてありがとう」と言われる遺言書になるのです。
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